最近のニュースから

最近のニュースから興味をひいた内容があったので、ご紹介します。どう思われますか?なお下記の内容は全て、『The Economist:vol. 381 number. 8500』に帰属します。


世界経済の原動力を問われれば、アメリカを挙げるのがごく自然な返答と思われる。事実、かつてアメリカの不景気、恐慌はそのまま世界経済に直接的なマイナスをもたらしていた。極端に言うなら、アメリカは世界経済を思うままに制御する事が可能であったと言える。ところが、10月21日付けの『The Economist』によると、上記のパワーバランスは現在緩やかに崩れ始めている。それにはヨーロッパ経済よりも、アジア経済が大きく起因している。


そもそも、今アメリカの住宅市場は急激な下降線を示している。これに伴い、今夏アメリカのGDP成長は減速した。これにアメリカ市民が気付かない理由は、同時期に同国でのガソリンの値が急落した事にあると考えられる。住宅市場が下降線を示した一方で、ガソリンの消費量が上がった訳だ。この動きを知らずにGDPを見るなら、今夏のGDP成長の減速は重視するものではない。しかし、住宅市場は確実に下落しているし、この市場で働く人間の失業率は上がっている。経済基盤の一つである住宅市場の下降は、アメリカ経済の緩やかな下降に繋がる事になるであろう。


しかし、アメリカ経済の煽りを受けた世界経済が下降するかどうか、これは今別問題なのだ。アジア諸国は消費率と言う点で、世界一急速な伸びを示している。日本はもとより、昨今の中国GDPの急成長は、もはや万人が認知しているところである。アメリカを本拠地とする世界最大の小売業者、『Wal-Mart』が中国進出を狙っているのも頷ける話だ。中国での生活基準の向上はアジア全体の消費率を加速させている。中国とは若干違う形になるが、日本も例外ではない。少し古いが、身近で有名な数値を一つ挙げてみよう。『Louis Vuitton』の年商の内、約30%強は『Louis Vuitton Japan』での売り上げである。海外での日本人による売り上げを上乗せすると、実に『Louis Vuitton』の年商の50%は日本人消費者によるものと言う事になる。日本人のブランド志向が、アジア経済に影響力があるのは明白なのだ。かつて品物を製造し、一方的にアメリカへ輸出する事で成り立っていた日本経済は、自国内の消費者の活性化により、その形を変えつつある。


アジア諸国での物流、貨幣の流通が加速する一方、アメリカ市民の財布の口は堅くなる一方だ。今後数年間を展望した時、アメリカは深刻な不景気に見舞われる事は無いかも知れないが、経済評論家の多くはアメリカ経済の緩やかな停滞は避けられないと予測している。しかし、それで世界が止まる訳ではなさそうだ。


Works Cited
Author unknown. “America drops, Asia shops.” The Economist 21 Oct. 2006: 11.